建設業界の定年って?建設業界のシニア事情

建設業界では、定年引き上げの動きが強まっています。
シニア人材を採用したい建設会社も増えているため、65歳を過ぎてもまだ需要が大きい状態です。
建設業界は長いキャリア形成が実現しやすい時代に入りました。
シニア人材の就労事情などを解説していきます。
建設業界の定年が引き上げられている
従来の高年齢者雇用安定法では、下記の「雇用確保措置」のいずれかを満たすことが義務づけられていました。
- 65歳までの定年引き上げ
- 定年制の廃止
- 65歳までの継続雇用制度を導入
ところが、2021年4月から「改正高年齢者雇用安定法」が施行され、下記の「70歳までの就業機会の確保」が努力義務に追加されました。
- 70歳までの定年引き上げ
- 定年制の廃止
- 70歳までの継続雇用制度の導入
- 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入など
参考:厚生労働省「高年齢者雇用安定法 改正の概要」
https://www.mhlw.go.jp/content/11700000/001245647.pdf
こうした動きもあり、建設業界でも定年の引き上げが実施されています。
厚生労働省の「就労条件総合調査(2017年)」によると、建設業の定年の現状は下記のとおりです。
- 定年が60歳の企業:74.4%
- 定年が65歳以上の企業:22.2%
- 最高雇用年齢を定めていない企業:15.9%
ちなみに、他業界で「定年が65歳以上の企業」の割合は下記のとおりなので、建設業界では定年引き上げの動きが活発であることがわかります。
- 製造業:10%
- 電気・ガス・熱供給・水道業:8.3%
- 情報通信業:9.6%
参考:厚生労働省「就労条件総合調査」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/11-23.html
建設業界の定年が引き上げられている理由
建設業界の定年が引き上げられている大きな理由は、人手不足です。

- 即戦力になるベテランを採用したい
- 若手を育成してほしい
例えば、公共工事は総合評価入札方式が導入されたことで、技術面も重要になっています。
そのため、シニアの豊富な経験値が求められているのです。
特に施工管理など管理業務のベテランを採用したい企業が多く、定年を引き上げてシニア人材を積極的に受け入れています。
まだまだ働きたいシニア人材が増えている
内閣府の「高齢社会白書」によると、60歳以上の人で就労の継続を希望する主な理由は下記のとおりです。
- 収入がほしいから
- 仕事そのものが面白い、自分の活力になるから
- 仕事を通じて友人や仲間を得ることができるから
- 働くのは体によいから、老化を防ぐから
参考:内閣府「高齢社会白書」
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2021/zenbun/pdf/1s3s_02.pdf
これは建設業界でも同じことが言えるでしょう。
現代の60代は「まだ若い」「まだ働ける」という認識も一般的になっています。
前述のとおり、建設業界ではシニア人材の人気が高まっていることもあり、働きたいベテランが活躍しやすい状態です。
企業側がシニア人材を採用するためにやっていること
求人情報を調べるとわかりますが、65歳以上の人材を採用している企業が増えています。
また、65歳以上の人材を採用するために、働きやすい環境を整えている企業も多いです。
具体的な企業側の施策には下記などがあります。
- 継続雇用制度の設立
- 定年の引き上げや定年制の廃止
- 体力面を考慮した配属
- 危険度が低い業務への配属
結論、シニア人材が働きやすい環境作りが進んでいます。
シニア人材の定年後の働き方が多様化している
定年後の働き方は、ある程度の融通がきく企業もあります。
独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によると、建設業の「定年前後での仕事の変化」については下記のような調査結果が出ています。
- 定年前とまったく同じ仕事:51%
- 定年前と同じ仕事であるが責任の重さが軽くなる:38.5%
- 定年前と同じ仕事であるが責任の重さが重くなる:0.5%
- 定年前と一部異なる仕事:2.9%
- 定年前とまったく異なる仕事:0.3%
出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)
https://www.jil.go.jp/institute/reports/2021/documents/0211_07.pdf
もちろん働く会社にもよりますが、定年前と変わらず働くことも、少し責任を落として働くこともできる状態と言えるでしょう。
まとめ
建設業界の定年は引き上げられており定年後も活発に転職できる
もはや「定年が関係なくなっている」と言っても過言ではないかもしれません。
そのため、50代のうちに転職することもキャリアプランの選択肢に入ってくるでしょう。
まだまだ活躍できる業況であるため、今後のライフプランに合わせて転職を検討するのも大切になってきます。