技士補について詳しく知りたい

技士補について詳しく解説します。
令和3年から、新たに「技士補」という施工管理資格が追加されました。
以前よりキャリアアップしやすくなったため、ぜひとも試験に挑戦してみましょう。
技士補の特徴やメリットを解説するので、参考にしてみてください。
技士補とは
技士補は「施工管理技士を補佐する資格」として、令和3年4月1日からスタートしました。
※建設業法第27条の改正で施工管理技術検定制度が変更され、技士補が新設されています。
旧制度では、施工管理技士試験の学科試験と実地試験の両方に合格しないと、何の資格も得られませんでした。

ですが、令和3年4月1日以降は、下記の場合に「技士補」の資格が与えられます。
- 第一次検定(旧学科試験):合格
- 第二次検定(旧実地試験):不合格

第一次検定しか合格できなくても「技士補」の資格が与えられるので、モチベーションを維持しやすくなっています。
※旧制度の「学科試験」「実地試験」は、「第一次検定」「第二次検定」に名称が変更されました。
1級施工管理技士補は経営事項審査で4点がつく
1級施工管理技士補の資格を取得すると、経営事項審査で4点が加点されます。
企業は公共工事を受注しやすくなるため、1級技士補でも会社に貢献しやすいでしょう。
ちなみに、施工管理技士資格の経営事項審査の点数は下記のとおりです。
- 1級施工管理技士:5点
- 1級施工管理技士補:4点
- 2級施工管理技士:2点
- 2級施工管理技士補:加点なし
参考:国土交通省「経営事項審査の主な改正事項(令和3年4月1日)」
技士補に合格すると無期限で第一次検定が免除
技士補に合格すると、該当する施工管理技士試験の第一次検定が無期限で免除されます。
旧制度では、2年以内に実地試験(第二次検定)に合格しないと、また学科試験(第一次検定)からやり直しでした。
このため「2回連続で実地試験(第二次検定)に不合格だった人のほとんどは再受験をしない」という状況に陥っていました。

出典:国土交通省「技術検定制度の見直しについて」
https://www.mlit.go.jp/common/001149833.pdf
しかし、新制度では第一次検定で技士補資格が与えられるため、以後は第二次検定の受験だけで施工管理技士を目指せます。
こちらも、新制度によってモチベーションを維持しやすくなっています。
1級技士補がいれば1級施工管理技士は2現場を兼任できる
旧制度では、特定建設業の工事の場合、1級の施工管理技士(監理技術者)が現場専任で必要でした。
※特定建設業の工事=元請で総額4000万円以上(建築一式工事は6000万円以上)の工事
ですが新制度では、1級技士補がいれば1級施工管理技士は2現場を兼任できるようになりました。
これにより、監理技術者は従来の2倍の現場を担当できるので、施工管理技士不足の問題を解消しやすくなっています。
技士補制度が創設されたきっかけ
技士補制度が創設されたのは、「施工管理技士の不足」が原因といわれています。
日本の建設就業者は55歳以上が約3割、29歳以下は約1割という状況です。
出典:国土交通省「建設産業の現状と課題」
https://kensetsu-gyokai.com/sekokan-hitodebusoku/
これからベテランの施工管理がどんどん引退していくため、深刻な人材不足が懸念されています。
また、高卒で建設業界に就職する人は、入職してから3年以内に半分が離職している状況です。
日本は地震・台風など災害が多い国なので、施工管理など建設人材の不足は大きな問題といえるでしょう。
こうした背景から「施工管理技士を減らさない」「施工管理技士を増やす」という必要性があり、技士補制度が創設されました。
技士補の受験資格は施工管理技士と同じ
技士補の受験資格は施工管理技士試験と同じです。
主な受験資格を紹介していきます。
※施工管理技士試験の種類によって受験資格は違う部分があるので、詳しくは資格を主宰している団体のホームページで確認してみてください。
まず、1級の第一次検定の代表的な受験資格は以下の通りです。

1級の第二次検定の代表的な受験資格は、下記があります。

2級の第一次検定の受験資格は「満17歳以上」です。
そして、2級の第二次検定の代表的な受験資格は下記のとおりです。

ちなみに2級施工管理技士合格者は、実務経験を問わず1級の第一次検定を受験できるようになりました。
※ただし、1級の第二次検定の受験は、2級施工管理技士に合格後5年以上の実務経験が必要です。
旧制度では、2級施工管理技士に合格後、5年以上の実務経験がないと1級の学科試験(第一次検定)を受験できませんでした。
新制度では、第一次検定に合格してしまえば第二次検定の受験対策に集中できるため、以前より合格しやすい環境になっています。
※2級合格後の実務経験は、その他の細かい規定があります。
以上、技士補ができたことでキャリアアップしやすい環境になったため、積極的に施工管理技士試験に挑戦していきましょう。
あなたのキャリアアップの参考になれば幸いです。