転職時にも役に立つ!工事経歴書の書き方

工事経歴書を転職時に提出することで、自身の職務経歴書のような使い方をすることができますし、工事経歴書は共通の書式なので、担当者にもわかりやすく伝えることができます。
この記事では、工事経歴書の書き方やルールを解説します。
経営事項審査を受ける場合の書き方・ルールもあるので、事前に知っておきましょう。
工事経歴書を書くときのルール
建設業許可の申請書類の「工事経歴書(様式第2号)」を書くときの基本的なルールは、下記のとおりです。
- 元請→下請の順で記載する
- 請負金額が大きい順に記載する
- 許可を受けたい業種ごとに用紙を分ける
- 1件の工事を分割して複数の工事のように記載してはいけない
- 申請書類を提出する事業年度の前事業年度の工事と請け負った未完成工事を記載する
「事業年度の前事業年度の工事と請け負った未完成工事を記載」の事例を紹介します。
- 事業年度:4月1日~3月31日
- 申請時期:令和3年8月10日
この場合、令和2年4/1~3/31の完成分と、3/31時点の未完成工事を記載するイメージです。
工事経歴書の書き方は都道府県によって違うので、必ず自治体に確認してください。
また、不明点があれば自治体に聞きながら、工事経歴書を作成していきましょう。
工事経歴書の記入例
下記は工事経歴書の記入例です。

番号部分ごとに、書く内容や注意事項を解説していきます。

- 建設工事の種類
- 税込/税抜:経営事項審査を申請するなら税抜(経営事項審査を申請しないならどちらでも可)
- 注文者:個人の場合は「A」など個人を特定できないようにする
- 元請or下請
- JVの別:JVとは「共同企業体」のこと
- 工事名:個人の場合は「A邸」など個人を特定できないようにする
- 工事現場の都道府県名・市区町村名
- 配置技術者の氏名
- 主任技術者or監理技術者にチェック
- 請負代金の額:PC/方面処理/鋼橋上部は右の枠に記入
- 工期:着工年月と完成年月(未完成の場合は完成予定年月)
- 小計:ページごとの工事件数・請負代金の額の合計(PC/方面処理/鋼橋上部があれば右の枠に記入)
- 小計のうち元請工事の請負金額の小計(PC/方面処理/鋼橋上部があれば右の枠に記入)
- 合計:請け負ったすべての工事件数・請負代金の額の合計(PC/方面処理/鋼橋上部があれば右の枠に記入)
- 合計のうち元請工事の請負金額の合計(PC/方面処理/鋼橋上部があれば右の枠に記入)
ちなみに、「JV」=ジョイントベンチャーの略で「共同企業体」のことです。
JVで工事を行なった場合の請負代金の額は、下記のどちらかで計算します。
- 出資した割合
- 分担した工事の割合
※ただし、中小企業でJVの事例は少ないです。
また、「PC/方面処理/鋼橋上部」については下記のとおりです。
- PC:プレストレストコンクリート構造物工事・土木一式工事のみ
- 方面処理:とび・土工・コンクリート工事のみ
- 鋼橋上部:鋼構造物工事のみ
工事実績がない場合の記入方法
新規の建設業許可で工事実績がない場合は、「工事実績なし」と記載しましょう。
「工事経歴書を提出しなくていい」という意味ではないので、注意してください。
経営事項審査を受ける場合の工事経歴書の書き方
経営事項審査を受ける場合は、下記の優先順位で工事経歴書を記載していきましょう。
- 完成した元請工事を記載する
- 未記入の元請工事と下請工事を記載する
- 未完成工事があれば記載する
詳しく解説していきます。

記載順1
完成した元請工事を記載する
まず、下記のルールで「完成した元請工事」から記載していきます。
- 完成した元請工事の請負代金の合計の7割を超えるところまで記載する
- 7割を超えるまでに500万円未満の軽微な工事を10件記載すれば、記載はそこまででOK
- 記載した工事の請負代金が1000億円を超えたら、記載はそこまででOK
記載順2
未記入の元請工事と下請工事を記載する
次に、下記のルールで「未記入の元請工事と下請工事」を記載していきます。
- 元請→下請の順に請負金額が大きい順に記載していく
- すべての完成工事の請負代金の7割を超えるところまで記載
- 7割を超えるまでに500万円未満の軽微な工事を10件記入すれば、記載はそこまででOK
- 記載した工事の請負代金が1000億円を超えたら、記載はそこまででOK
記載順3
未完成工事があれば記載する
最後に、未完成工事があれば工事経歴書に記載していきます。
国土交通省の「工事経歴書(第2号様式)の記載フロー」に詳細が解説されているので、確認しておきましょう。

出典:国土交通省「工事経歴書(第2号様式)の記載フロー」
https://www.mlit.go.jp/common/001290099.pdf
経営事項審査を受ける場合に他に必要なもの
経営事項審査を受ける場合には、工事経歴書の他に下記の提出も必要です。
- 工事の契約書
- 注文書(請書)
- 請求書
- 入金通帳
工事経歴書に記載した内容を証明するために必要なので、併せて準備しておきましょう。
工事経歴書は転職の際に提出すると、
今までの経歴がわかりやすい
今まで請け負ってきた現場の詳細が体系立てて記載されているので、採用する側にとっても 工事経歴書を共有してもらえるのは非常にありがたい事です。
事実に基づいて共通の見解が取れるので、今までの経歴を生かした業務を任せてもらいやすいです。
まとめ
工事経歴書を丁寧に記載しておくことで転職の際に役に立つので
きちんと記載しましょう
- 建設業許可を申請するには工事経歴書が必要
- 工事経歴書の記載はルールがあるので知っておく
- 工事実績がない場合は「工事実績なし」と記載する
- 経営事項審査を受ける場合も記載ルールがあるので遵守する
- 都道府県によって記載方法が違うことがあるので必ず自治体に確認する