建築施工図 技術者の働き方・転職

建築施工図の技術者の仕事内容や転職先などを解説します。
建築士から設計図をもらって、現場の工事に使う施工図に書き直す必要があります。
スムーズに施工を進めるためにも、建築施工図の作成スキルが重要です。
キャリアアップに有益な資格もまとめたので、参考にしてみてください。

建築施工図の仕事とは

建築施工図とは「建築物を造るための図面」のことです。「設計図」と似ていますが、役割が違います。

  • 設計図:建築士が書く図面(デザインや建築基準法を満たすのが目的)
  • 施工図:施工管理など現場担当者が書く詳細な図面

建築士が書く設計図を見ただけでは、施工をスタートできません。
施工に必要な細かい情報を図面(施工図)にすることで、現場作業員に細かい指示を出すことができて、工事を進めることができます。
施工図には下記のような種類があります。

  • 実施設計図:意匠設計の図
  • 構造図:構造設計の図
  • 設備図:設備設計の図
  • 平面詳細図:仕上げ作業の図面
  • 躯体図:骨組みを造る図面
  • 設備施工図:設備を設置する施工の図面
  • 総合図:設備配置の図面

施工図の仕事、とは、上記にあるような「指示の出せる図面」を引ける方向けのお仕事となります。

建築施工図を書くのに必要なスキル・知識

施工図の作成に必要となる主なスキルや知識は下記の3つです。

  • CADスキル
  • 設計図を施工図に変換するスキル
  • 資材・部材の知識

施工図はCADソフトを使って作成するため、AutoCADや3DCADの操作スキルがあると良いでしょう。
また、設計図に細かい情報を書き込んでいくのではなく、設計図を見ながら新たな施工図を作成するため、 設計図→施工図に変換するスキルも必要です。
施工図にはすべての情報を書き込んでいくので、資材や部材の知識も必要になります。

建築施工図作成の

やりがい

建築施工図の仕事でやりがいを感じるのは、施工がスムーズに進んだときです。
図面と現場がきちんと合っていて、滞りなく施工が完了したときは大きな達成感があります。
施工図にミスがないと現場作業員さんたちも仕事を進めやすいので、お互いにストレスが少なく仕事ができます。

建築施工図作成の

きついところ

反対に、建築施工図の作成作業のきついところは下記の3つです。

  • 一箇所を変更すると他の箇所も変更しないといけない
  • 施工図を間違えると現場がストップしてしまう
  • 施工図のミスでスケジュールがタイトになってしまう

施工図は数百枚~数千枚になることもあります。
各図面どうしは連動しているため、内容を変更すると多くの箇所に変更が生じて時間がかかってしまいます。
また、施工図が間違ったまま工事が進んでしまうと、施工箇所のどこかが合わなくなってきます。
工事を始めてから施工図のミスが発覚すると、一度工事を止めて対策を立てなければいけません。
この時間ロスの影響は大きく、期限が近い場合にはスケジュールがタイトになってしまうこともあります。
それくらい施工図の作成は重要な作業であり、責任も重い仕事です。

建築施工図の

技術者の働く場所や転職先

建築施工図の技術者が働く場所は、主に下記があります。

  • 建設会社
  • ハウスメーカー
  • 工務店

大手ゼネコンだと、大規模な商業施設や駅の施工を任されることもあり、施工図の量が多くなります。
ハウスメーカーや工務店は、戸建住宅や集合住宅の施工図作成を行うイメージです。
多くは「建築施工管理」として働きます。
建築施工管理の仕事内容は、施工図以外にも下記などがあります。

  • 工程管理(工事が計画通りに進んでいるかチェック)
  • 安全管理(現場に危険箇所がないかチェック)
  • 原価管理(利益が出るように費用計算する)
  • 品質管理(高品質の建築物になっているかチェック)
  • 行政への書類作成
  • 近隣への挨拶

建築施工図の作成は、建築施工管理の業務の1つです。

建築施工図に

有益な資格

建築施工図を書くのに資格は必要ありません。
ですが、下記のような資格を取得しておくと業務に活かすことができます。

  • 建築施工管理技士
  • 建築士

1つずつ解説します。

建築施工管理技士

建築施工管理技士は、建築施工管理の知識やスキルを証明する国家資格です。
1級と2級があり、下記のような特徴があります。

  • 1級:監理技術者として特定建設業と一般建設業の両方の建設業許可を得られる
  • 2級:主任技術者として一般建設業の建設業許可を得られる

特定建設業とは、下請けに出す工事の総額が4000万円以上、建築一式工事の総額が6000万円以上の工事のことです。
※一般建設業は、特定建設業以下の工事。

会社に建築施工管理技士がいることで、公共工事を受注しやすくなるなどメリットがあるため、資格を取得すると昇進や資格手当で給料アップする会社も多いです。
試験の合格率は1級2級ともに30~40%程度で、少し難易度は高めです。
キャリアアップのためには、ぜひとも取得しておきたい資格といえるでしょう。

建築士

本来は設計図を書く建築士ですが、建築施工管理を行う人も建築士を取得しておくのがおすすめです。
理由は、設計図の理解が深まるからです。 前述のとおり、建築士からきた設計図を施工図に書き直す必要があるわけですが、そのときに設計図の知識(建築士の知識)もあるとスムーズに業務を行えます。

また、建築施工管理であっても建築士をもっていると資格手当がついたり、転職が有利になるのでいずれ取得しておきたいところです。
建築士には一級・二級・木造がありますが、二級建築士から取得して一級建築士を目指す人が多いです。
※木造建築士は木造建築しか対応していないため、二級建築士から取得するのが一般的なルートです。

合格率は下記のとおりです。

  • 一級:10%程度
  • 二級:25%程度
  • 木造:30%程度

まとめ

施工図の仕事は、責任もあるがやりがいのあるデスクワーク

施工図の仕事は、専門的な知識と現場で必要な情報をきちんとまとめることのできる能力が必要です。
向き不向きもあると思いますが、肉体労働ではないので、きちんと学びを続ければ、体力的負担が少なく その点では働きやすい職業といえます。
転職の際には施工図としての実績をきちんと企業に伝えつつ、どこで折り合いを付けるかが大事になります。